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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
馬との関わり方など、テキサスから真摯に想いをシェアするべく書いて行きます。
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サニーが何かに怯える時、上に乗っている私は、彼の心臓の鼓動が早く強くなるのをウェスタンのヘヴィーな鞍を通じて感じます。ドックンドックン、ドックンドックン。アドレナリンが急激に分泌されるのか、普段の優しいトロンとした目は大きく見開かれ、恐怖に慄いている目つきになります。頭は高く上げられ首は硬直し、体全体は硬くなっている感じです。
普段、サニーが少し興奮するくらいなら、上に乗っている私が呼吸を(ふうぅ~~)っと吐くと、サニーがそれに呼応することで、スピードをコントロールできるのですが、約10頭の牛の群れを前にして、昔の恐怖が蘇ったのか、サニーの怯えはこれ以上耐えられないという、彼の限界点に達ていたようでした。私はなぜそうなる前に気付かなかったのか?しかし、サニーの中でスイッチが入るまでは、普通におとなしく動いていて、恐怖モード全開になるまでには1分も満たなかったのです。
最近はトレーニングがとても上手くいっていて、アリーナで普通に乗るくらいであれば、私が乗っている分には特に大きな問題はありませんでした。が、このような状態になることもあるというのは、何人かのプロのトレーナーから聞いてはいました。サニーのような馬は、長年セラピーに通い続けなければいけない、心に傷を負った精神的疾患のある人間のようだと。だからカウンセリングが上手く行っていて、しばらく何も問題がなくて大丈夫だと思っていても、何かのきっかけで昔のことがフラッシュバックされると、また殻に閉じこもったりすると。そして、それは全く予想してない時に起こるから、こういう馬を持ったら、完全にリラックスして何も考えないで乗ることができない・・・と、同じようなことを数人から言われていたのです。
サニーがうちの子になってから約1年半経ちます。でもその時サニーは既に13歳でした。彼は13年間に一体どのように人間に扱われていたか?サニーを売っていた人は、サニーに名前もつけず“馬”と呼んでいました。この中途半端な若いカウボーイは、サニーを売ることにした理由をこう言っていました。「この馬より速く走る馬を人からもらったから、コイツはもういらなんだよ」と。聞くと、彼は週末に友人らと野原で、お金をかけた素人の競馬をしていたそうです。ダート・トラックと呼ばれるこのような素人の競馬では、男たちがビールを飲みながら、20ドルくらいづつお金をかけて遊んでいるそうです。サニーの元オーナーは、このようなダート・トラックの競馬にサニーを使っていたのですが、サニーでは勝てなくなったので、他の馬に切り替えたという訳です。
サニーが走ることしか知らなかったのはそのためでした。人が上に乗ったら暴走するもの。蹴られて走らされるもの、という刷り込みがされていたのです。それだけでなく、彼には他にもネガティブな刷り込みがありました。”牛追い”もその一つでしょう。この男性は、牛を集めるのにもサニーを使っていたと言っていましたから。また私が初めてサニーを見た時、一回目は朝に行ったのですが、男性はサニーを私に見せた後、食べ物も水もない馬屋の柱に、馬が全く身動きできないくらい、ロープを短くして縛って馬をつなぎました。私は馬を買う際に、一体何をチェックしたらいいのか知らず、全く無知だったので、その日の夕方、知り合いのトレーナーに一緒に行ってもらい、またサニーを見に行きました。すると、サニーは朝つながれたままの状態で、同じ所に同じようにポツンと立っていました。私は思わず「朝からずっとこのままだったの?」と、つい責めるような言い方で口走ってしまいましたが、その男性はまるでそれは当たり前だろうと、肩をすぼめるような態度でした。
こういうことはよくあるのだと思います。でももし、年中そういう状態でつながれいたのだとしたら、その馬にはどういう刷り込みがされてしまうのでしょう?サニーを私の元に連れて来た後、サニーの行動によって、私はその結果を明らかに見せてもらいました。サニーは閉所恐怖症だったのです。そして、短い綱でつながれると、そこから逃れるように危険なまで、ロープを引っ張り後ろに下がっていました。つながれること=恐怖なのです。
さて、こんな馬でしたから、もちろん一緒に行ってくれたトレーナーからは、「あの馬は絶対に買うな」と言われました。そして、私がどんな馬を見に行ったか気になっていた牧場主のラスティーは、トレーナーから話しを聞いて、やはり「絶対にその馬は買っちゃいけない」と言っていました。確かに初心者が調教するにはありえない馬だったと思います。もし私が今、お友達で馬の初心者が、サニーのような馬を買おうとしていたら、やはり思い直した方がいいと、おせっかいだと思われても忠告すると思います。
私自身、サニーを買うのはすぐに決心した訳ではなく、サニーを見てから、他にも数頭の売りに出されている馬を見に行きました。中には鞍をつけずに裸馬でそのまま道路に出て、ファーストフードのドライブスルーにハンバーガーを買いに行っているという馬もいました。その馬に乗ったらとてもスムーズで、言うことをよく聞きとてもいい子でした。ティーンエージャーの女の子がかわいがっていた馬で、でも両親が離婚したために、お母さんと一緒に都会に住むことになったので、自馬を維持することができなくなったそうです。
彼女がその馬に接しているのを見ていたら、かわいがられて育てられたのは一目瞭然。女の子が馬に飛び乗ったり、お腹の下をくぐったり、尻尾を後ろから引っ張ったり、何をしても馬はびくともせず安心しきっていました。とてもかわいがっていた馬だったため、その女の子は優しく扱ってくれる人を探していたようで、売りに出ていた価格の半額ほどの値段で、私はその馬をもらってくれるようオファーされました。それはサニーの値段とほぼ同じでした。
(続く)
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マミーさん
サニーの経緯を知ると 本当にマミーさんの元に来て良かった
神様が引き合わせてくれた と思います
人は 楽な出来た方を選べるなら そっちに心が移って当然ですが
あえて サニーにした 心が惹き合ったと思います
この馬は駄目だ 次! 次!!
まるで消耗品のように 取り替える人が大半です
楽だから…
明らかに心に傷がある馬が居て
時間を掛けることを優先される人
早くに調教を開始する人
どっちも結果オーライですよネ
旦那のウエスタンの師匠は 鞍がお腹の下に回ってパニックのトラウマになった馬を 対角線に肢を伸ばしきった状態でロープで固定して 鞍を着けて腹帯も一気に締めていました 馬の表情は見るなと
人によっては虐待と騒ぎかねませんが
この方が調教した馬は 人へのリスペクトも完璧でいわゆる出来の良い馬です
怖いから言う事を聞く…のではなく 馬自身は生き生きと初心者を乗せて走っています
家とはやり方が違いますが 馬の出来も違います
人が思っているのと 馬の考え方は違うのかな~~~と不思議に思ってしまいました
その方が 仰っていたのが
『馬に問題があるのではなく 問題は人にある
馬が出来ないんじゃなくて 出来ない理由を馬に転換しているだけ』
確かにな~~~出来た馬たちを見たら 納得するしかないです
トラウマを背負った馬は 相当の気力や時間も掛かると思います
余所に譲る 仕事で使う等なら色々制約も責任も出てきますが
伴侶として長い目で見る事が出来ますよネ…
失った時間を取り戻すため 更に時間をかけて向き合う覚悟
馬の寿命が30年なら サニーにはまだまだ沢山の時間が残っていますネ
馬が変わらないと行けないんじゃなくて
変わらなければ行けない人間が 沢山居るんじゃないかな~~~と
マミーさんの馬への謙虚な姿には いつも教えられる事が沢山です
投稿情報: 氷野 | 2010/09/17 12:19
永野さん
こんにちは♪
北海道はもう肌寒い頃ですか?
こちらテキサスもついこの間まで暑くてたまらなかったのが
大分、涼しくなってきました
って、天気の話してもつまらないんだけど。(笑)
馬と心が惹き合うって、本当にそういう馬いますよね。
すごく良い馬でも、この子だ!って思わなかったり。
色々見てみましたが、出会いって理性で選ぶものじゃないのだと
それは、馬との出会いでも同じだと思っています。
サニーのこと、理解してくださってありがとうございます。
心で感じてくださっているのが分かります。ありがとう。
きっと永野さんも、色々葛藤されて馬たちに学ばせてもらって
毎日を生きておられることと思います。
確かに、馬のせいじゃなくて、お前が悪いんだろう!っていう人いますよね。
しかも、そういう人、、、たくさんいます。
っていうか、ほとんどがそんな人ばかりのような。(笑)
今知っていることから、前に学んでいこうという気のない人も多い。
それ、私にとってはすっごく不思議です。
しかもそういう人に限って、自分が一番だと思っているので
人にあーだこーだ言ってきます。
牧場に行くと色々な人がいて・・・
最近、そういう人にも慣れてきて、時々、「ああ、うるさい、あっち行ってて」と
笑いながら大きな声で言ってやってます。
投稿情報: マミ~ | 2010/09/20 10:03