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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
馬との関わり方など、テキサスから真摯に想いをシェアするべく書いて行きます。
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最近、これまでの人生の中で、最も爽快で楽しかった出来事と言っても大げさではない体感をしました。たとえばシンフォニーを聴きに行ったり、ダンスに行ったり、世の中には気持ちよく楽しめることがたくさんありますが、それらと比べても比にならないほど、最高に気持ちが良い体感でした。それはサニーと一緒に走ったことでした。
最後にサニーのことを書いた後、まだほんの一週間ちょっとしか経っていませんが、その間、サニーは劇的に変わりました。
なんで急に変わったか?
一月くらい前の話になりますが、うちの馬たちはまだラスティーの牧場にいました。夏に日本からお母さんたちと子どもたちがテキサスに来て、ラスティーの牧場に滞在し、馬セミナーをやっている期間、私はうちの馬たち3頭をラスティーの所に連れて行っていました。そして、みんなが帰った後も、特にラスティーの牧場には広いトレイルがあるため、サニーのトレーニングがもう少し進むまで、家に3頭を連れて帰らず、1,2ヶ月、ラスティーの所においておこうと思っていました。
友人のルシンダの馬2頭は、私の馬3頭の隣の放牧地に放たれていたのですが、ある日、ルシンダから提案があり、彼女の馬たちと私の馬たちが気が合うみたいだから、彼らのフェンスの境になっているゲートを開けてみて、一緒にしてみようということになりました。
馬たちを一緒にする時は、誰が群のボスになるかで馬たちがケンカを始めることもあるので、私たちは5頭を一緒にした後、ラスティーや他の友人たちとも一緒に5人くらいで、彼らの様子をフェンスの中と外で観察していました。
面白かったのは、ゼファラスがルシンダの馬たちに遊んで遊んで~と近づいては、あっち行けと蹴飛ばされそうになっていたのですが、それを見たサニーが、うちの子に何をするんだとばかりに、ゼファラスを守るために、ルシンダの馬たちに攻撃していました。しかし、誰がボスになるのか・・・?ゼファラスはそんなことはお構いなしに、(ねえ~、みんなで仲良く遊ぼうよ~)とばかりに、みんなにあっち行ってはちょっかい出し、こっちに来てはちょっかい出し。
子どもの馬が大人に叱られる時、たまらなくかわいい仕草をします。最近、困り顔という流行りつつある顔があるらしいですが、そんなもんアヒル口に引き続き、「ひっぱたいてやりたくなる顔すんな!お前は幼児か?」と言いたくなるおばさんですが、どうも困り顔をされると、人は助けたくなる心境になるらしい。
ところが、仔馬が大人の馬に叱られた時にする仕草は、困り顔なんて比とも屁にさえもならない程かわいい。大人の馬に許しを請っている、仔馬が口をパクパクパクパクさせる様子は、無償に愛らしくかわいいのでありました。そして、5頭を一緒にした日、ゼファラスは大人の馬にちょっかい出しては、怒られそうになると「ボク、まだベビーだから、ぼく、まだベビーだから、許して、許して」と言わんばかりに、頭を上に上げては口を上に向けて、パクパクパクパクしていました。それを見ると、大人の馬たちは(謝っているんだからしょうがない許してあげよう。まだベビーだからな)とゼファラスを許してあげるのですが、彼の方は性懲りもなく、許してもらったら(ラッキー!)とばかりに、またしつこく他の馬たちにちょっかいを出しては、怒られて口をパクパク・・・と繰り返していました。
案の定ゼファラスは、次の日行くと、誰かに蹴られてちょっとした怪我をしていました。ふふふ。でもこのくらいのことがあった方が、私にとってはトレーニングしやすい子になります。人間がわざわざ彼に他をリスペクトする境界線を教えなくても、ゼファラスは他の馬たちからそのことを学べるからです。後は私が馬たちのボディー・ランゲージをまねすればいいだけ。
面白いのですが、トレイルライドとかに行くと、前にいる馬が神経質な馬だったりすると、ちょっと近づくと、目の辺りから斜め後ろに(それ以上近づくんじゃねえ)という光線を出しています。本当にそういうエネルギーがピキピキ出ている感じがしますから面白いんです。で、それを無視した後ろの馬が近づき過ぎると、いきなりパコーンと後ろ足で蹴られることがあります。サニーはいつも前にいる馬に近づき過ぎて、前の馬とライダーに嫌がられるので、なるべく引っ張って近づかないようにしてたのですが、この際、馬に教えてもらった方がいいかも?と思って、危なくない程度に、前の馬に蹴られてもいい位置にいることにしました。
そして、前の馬はサニーを一度牽制だけし、次に近づきすぎた時にはサニーを蹴りましたが、危ない距離ではなかったので、怪我はなく済みました。が、その後は私がサニーを引っ張らなくても、人間が馬に教えなくても、馬は前の馬に近づくのを自分で学んで止めました。あのように馬が(蹴るぞ~)と見せる姿勢を見て、(なるほど、それを真似すればいいんだな)と思い、早速、グランドでサニーが私の後ろに近づき過ぎた時に、前を向いたまま片足のつま先を上げて、その足の方の骨盤を上に上げ、“蹴るわよ~ポーズ”をしたら、サニーはひい~っと後ずさりしていました。シメシメ。
さて、5頭を一緒にした後、どうやらボスはサニーに決まったようでした。俺様気質のサニーなので、彼がボスになることは、私たち人間は予想できていました。ところがです、ところが、私には予想ができていないことがありました。それは馬たち5頭を一緒にした数日後の出来事でした。
サニーの側に行き、私が体でこっちにおいでと指示すると、彼はいつも私の後をついて来ます。しかし群のボスとなったサニーは、一体何を勘違いしたのか、私がこっちにおいでと指示した時、私にお尻を向けて(俺様はお前には従わんの。ここでは俺様がボスなの)とやりやがったのです。もちろんその場で、その態度は修正して、サニーは(あ、すびばせーん。つい間違えてしまいましたー)とでも言うように、私についてきたのですが、私はそのことでピンと思ったことがありました。
“サニーは群のボスである”、“群の頭数が増えるともっと支配的になる”、そして、そういう傾向があるのだとしたら、自分が率いる群がなかったらどうなるのだろう?と。そんなことを考えている折、私の夫のロバートが、「家に馬がいないと寂しいよねえ」と言ってたり、ラスティーが「サニーだけここに残して、他の馬たちだけを連れて帰ったらどうか」とアドバイスしてくれたりと、いくつかのパズルが組み合わさった感じだったので、試してみてもリスクは全くないと思い、私はルナとゼファラスだけを家に連れて帰り、サニーだけトレーニングのために、ラスティーの牧場に残すことにしました。そしてルシンダの馬たちとは、ゲートを閉めて行き来できないようにしました。とは言え、サニーはフェンスごしに、左右斜め前と他の馬たちに囲まれていますから、周りに馬が全くいない状況ではありません。
私はそうして、サニーを他の馬たちから離して、サニーが群のボスではない環境を敢えて作り、その代わり大雨の日以外はラスティーの所に毎日行き、彼ととても長い時間過ごすことにしました。
結果から申しますと、サニーは激変しました。今、ラスティーの所では、アリーナではなく広い牛の放牧地でサニーに毎日乗っているのですが、牧場内でもトレイルでも広い野原でも、サニーのロープを持たなくても、彼は私のすぐ後ろを歩いています。最近、ロープをつけないこともあります。トレイルで私から離れた方が、彼にとっては怖いことなのです。また、乗っている時には手綱を持たなくても、普通に歩くだけなら、私が見た方向に動いてくれます。広大な緑の放牧地で、手ぶらで乗るはとてもフリーな感じがして気持ちいいです。
数日前、広い牛の放牧地でサニーに乗っている時に、牛の群が目の前にいたのですが、まずはサニーは牛たちを怖がってはいませんでした。牛たち10頭くらいの後ろに、彼らが5メートル前くらいに近づくと、牛たちは(あれ~、大変)とばかりに、逃げろ、逃げろと私たちから遠く離れて行きます。私は「サニーちゃん、牛怖くないでしょ。牛たちの方がキミのことが怖いんだよ」と言いながらサニーに乗っていると、彼が走りたい風だったので、走ってもいいよというキューを出してサニーを走らせました。めちゃ気持ちの良かった体験とは、その時のことです。
放牧地は長方形の形をしていて、四方の距離は800メートルから1000メートルはあります。あまりにも広いと距離感がつかめません。で、サニーが走っている間、これまでに何度も広い所で暴走されているので、私は上に乗っている時に、(これは暴走しているのか?)と何度も確認してみました。しかし速さは暴走している時とそれほど変わらなかったと思うのですが、走り方が全然違いました。そして変な話ですが、暴走する時の馬の体の音はありませんでした。走っている時はずっと耳も前に向けていて、怖がっている様子ではありません。
ちなみに暴走の音があるんです。っていうか、私が勝手にそう感じているだけかもしれませんが・・。地震が来て地面が揺れる前に、ゴオ~っという音を体で感じることがあって、(あ、地震が来る来る)と思うと、1,2秒後にぐらぐらっと揺れるという経験が何度もあります。そういうことありませんか?まあ、テキサスは地震がないので、もうその感じは随分味わっていませんが。で、暴走ですが、馬が暴走する前に、一瞬、グワ~っという音(?)を体で感じます。それで、あ、きたきたと思うと、そのグワ~っというエネルギーに自分が引っ張られてしまうと、いとも簡単に暴走されてしまうという、そういうパターンがありました。
多分、今、私が書いていることを(そうそう、分かる分かる~)と読んでくれる人の数はかなり少ないと思います。それよりも(変なやつ)と思われている人の方が多いと想像しますが、まあいいです。思っていることをそのまま書き続けます。実は先日のエジプト直系アラビアンのセミナーで、お金持ちのおばさまたちと話ししている時に、「馬が暴走する時って、音がありますよね」と言ったら、一緒にいた数人の人たちが(変なヤツ)と引いてたのを私は感じてしまいました。そこで初めて(暴走音が聞こえるというのは普通のことじゃないのか・・・)と、知ったというワケです。
しかし、サニーが走っているその時、私はこれまでにない感じを受けました。それは(サニーは走りたくて走っている。今、走りたいんだ)ということです。決して恐怖から逃れるために走っているのではなく、(ボクはこんなことをできるんだよ)と私に見せてくれて、得意になっているようにさえ感じました。私は決して彼を走らせてはなく、彼の体の動きに合わせていました。一体どのくらい走りたいのか、サニーが走っているそのままにして、特に止めようとはしませんでした。
そのまま走らせていると、結局、その放牧地を2周弱して、サニーが疲れてきたみたいだったので、私は呼吸をふうう~~と吐いて、アクティブに乗るのを止めて、お尻を鞍に沈めトロットに移行しました。そしてしばらく歩いた後、木陰に入ってあげて、サッとサニーから下りました。
彼は鼻の穴を少し大きく膨らませて、酸素を取り入れているくらいで、呼吸は荒くなく普通に呼吸していました。少なくても1500メートルは走ったのに、ぜんぜん疲れている様子はなく、それよりも得意になっているように見えたので、私は彼をたくさんたくさん褒めてあげました。馬が喜んでいる。自分ができることを私に見せて、得意になって喜んでいる。これは全くの私の空想かもしれませんが、サニーの顔が(ぼく、すごいでしょ)と言っているように思え、私は感動を覚えながら、彼を褒めちぎりました。
このことは、サニーを調教するようになった、彼が変化する前と変化した後のブレイク・ポイントの瞬間だったと、今私は思っています。サニーはやっと、何かを前向きに学べる馬になったと、そんな風に思っているのです。
連れて来たはじめの頃は、まずは彼の健康状態を整えることが先決でした。体が弱かったり肉体的な苦痛があるのに、人でも動物でも、新しいことを学ぶなどできないと思っています。人間の子どもだって、衣食住が保証されて体が健康であることが、学ぶためには最低限必要なことではないでしょうか。
サニーが餌を与えてもらってなくてガリガリだった時には、彼には何もせず餌だけあげ、ブラッシングをして蹄を綺麗にし、それだけをしばらくの間やっていました。体の準備が整った後は、今度はメンタルのウェルネスがサニーには必要だと感じ、前足を上げて私のことを脅したりして、私にはお手上げの状態の時にも、サニーを力と恐怖で調教する人の手には預けませんでした。
怖がらせて馬を支配することが、正しいことだと思わなかったからです。しかし、彼の人間不信を取り除かせるには、非常に時間がかかりました。なので、多くの人から「この馬に必要なのは、ウェット・ブランケットだ」と言われ続けていました。ウェット・ブランケットとは、馬が諦めて抵抗しなくなるまで、走り続けさせたり、乗り続けるということです。でも、鞭を恐怖に思わせて、それから逃げるために丸柵の中で走り続けさせたりすることも、私はやりませんでした。それよりも、自分の体の動きにシンクロさせて、仔馬が母親馬と一緒に走るように、歩く、トロット、駈足を教える努力をしました。仔馬ってお母さん馬と同じ動きをするじゃないですか。でも、そんな風に丸柵でトレーニングしてたのを見ていた、子どもの頃から馬に乗っているという人たちに、私はよく笑われていました。
サニーが我がままで支配的な馬なので、とにかくたくさん乗って、ウェット・ブランケットにすれば言うことを従順に聞くようになると思っている人が多かったのですが、私には体のケアと心のケアをするためには、逆に馬を支配で扱うのではなく、馬と信頼関係を結ぶ方が良いはずと、自分の意思はまげずにいました。
しかし、経験のない自分のやり方が結果を見ることはずっとありませんでした。ですからその間、気持ちは揺れ、自分が思っていることは間違いだったのかもしれない、もっと厳しくしたり、ウェット・ブランケットにした方がいいのかもしれないと、そう思い悩んだことは数知れずありました。
ありゃ~~なんだかすごーく長くなってしまって・・・でも書ききれないので
(続きます・・)
(続く)
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今日はマミーさん いつも充実した内容のブログを楽しく閲覧しています。
サニーよ 普通の馬にならないで特別の馬になっておくれだと思います?
普通の馬はマミーさんにはつまらないでしょう、貴女のトレーニング技術にはいろいろな面で学んでいます。 夫に馬を教えるプロジエクトは いかが進行中ですか? 私は馬狂いでxxxです気をつけてネ。 独断と偏見のアメリカ ナチュラルホースマンシィプは 面白くて笑いが止まらなくてフロワーにゴロゴロと転げ回りました。 サニーとマミーさんとのコミニケーションが上がれば上がるほど( Understanding horse sense ) ふんふん分かる分かる、、、
と言えますね (同感です)サニーよ普通の馬にならないでおくれ 3の続編を楽しみにしています。
投稿情報: terry a. yasui | 2010/09/30 11:28
安居さん
こんにちは♪
いつもありがとうございます。
サニーはドレサージは無理だろうし、レイニングも厳しそうだし、カッティグなんてとてもじゃないけど無理だし
ジャンプは絶対ダメだろうし・・・ もう居るだけでいいよ、という意味では特別な馬です。(爆)
でも!走るの好きみたいだから、バレルはどうかと思ってはいます。
彼が怖がらずに楽しくやれる程度に、少しずつ挑戦してみようかなあ・・
ナチュラル・ホースマンシップ、笑っていただけました?ツボついてたでしょ。ぷぷ
夫はこの間、サニーに乗れてました。とりあえず暴走されずに。
トロットまではOKですが、駈足の練習を重い馬でやったら駈足させられなかった。
私が代わりに乗って、軽くしてから夫に交代しようと思ったのですが
その時点ですでにムっとしてた。ので、駈足はまた今度ということに。
夫婦間で、物を教えあうのは難しいですね。
投稿情報: マミ~ | 2010/09/30 14:02