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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
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『テキサス ショートステイ報告』 by ゆきこ
四日目: 「俺様サニー」にしてしまった
日本で練習しているときに、「体が硬いよ。ふにゃふにゃにして。」とか、「馬に負けてる。」とかよく言われていて、自分でも全くその通りだと思っていたので、なんとかしたいと思ってました。それで「おうちヨガ」でもしてみるかと、3か月ほど前からDVD見ながらストレッチしてたのね。その話をマミーさんにしたら、「ヨガのポーズを無理やり真似しようとするよりも、呼吸と共に体・筋肉をどうリラックスさせて緩和していくか、自分の身体を内側から理解するよう意識する練習の方が大事」と、昨日はヨガの練習もしたのでした。
今日はまたサニーちゃんに乗せてもらえるというので、教えてもらった呼吸を使ってみようかと、ちょっぴり欲を出してしまったの。そう、こういうちょっとしたこともサニーに伝わることを予想できなかったのでした。で、どういういきさつだったかというと・・。
せっかくテキサスまで来たのだから、ラスティの牧場でトレイルライドもしましょう。ということになりました。私がサニーに乗って、マミーさんはマハティを連れて歩いていくことに。この組み合わせには、考えがあったようです。前日、若くて陽気なゼファラスくんとマハティとの組み合わせで散歩したら、2頭とも若いのでマハティの馴地に時間がかかったのね。それで、大人のサニーならマハティを安心させることができるだろうということでした。
確かに、サニーと一緒のマハティは昨日と違って、とってもスムーズに歩みを進めることができました。サニーはというと、「半歩でも勝手に出ようとしたら抑える」というアドバイスを守ってさえいれば、通いなれたトレイルコースだし、サニーの前にはマミーさんが歩いているのでいたって普通。私を乗せていても平っちゃらという感じでリラックスしてました。私は、(なんだ大丈夫じゃん、トレイルもいいもんだ、何かありそうだったら深呼吸して)なんて呑気に騎乗してました。
トレイルが終わった後、アリーナに。そう、ここです。サニーが急変したのは。順調にトレイルができたので少し練習してみようかと、ジョグを始めたとたん、サニーへの指示が伝わらなくなって、サニーの耳も目つきも別ものに。”ふがふが”が始まったのです。「俺様に向かって何をするか!」と言わんばかり。もう、こうなると私の手には負えなくてマミーさんと交代。落ち着かせるまで大変でした。
「これがサニーなのよ。いつ急変するか分からない。こうなるとベテランのトレーナーでも、ふがふがが収まるまで時間がかかって大変なの。今日はまだいい方だけど・・。トレイルをきちんとやってもう終わりと思ってたのに(まだやるの?)って、練習したくなくて怒ったんだと思う。だから『俺様サニー』になってしまった。それと、慌ててしまった気持ちもサニーに伝わったと思う。だけど、こういうサニーも知ってもらってよかったわ。」と解説してもらいました。
確かにこういうサニーを知ることはいい勉強になりました。けれども、マミーさん以外の人が乗っても大丈夫だよというメッセージを、サニーに送れなかったことがショックな一日となりました。
で、次にどうしたかって?5日目をご覧あれ。
5日目: 再びサニーに!
前日夜、気持ちを入れ替えてもう一度サニーに乗せてもらえないかとマミーさんにお願いしたのですが、サニーのことを考えると即答はできなかったようです。それで、仕方がない、ここまで育てたサニーを元に戻してしまったら大変だものね、と私も半分あきらめていました。
よくよく考えてくれたのでしょう。「今日はサニーとマハティを広い牧場で歩かせましょう。その後、調子がよかったら私はマハティに乗ってみる。あなたはサニーにゆっくりのジョグをしてみて。」と提案してくれたのね。どちらにもいいように、精いっぱい考えてくれたのね。つくづく優しい人なんだね、マミーさん。
今日は天気もよく風もほとんどなく、気持ちのいい日になりました。マハティとサニーに鞍を付けて出発。中央に木が一本あるだけの広―い牧場を、リードロープを持って馬と一緒に歩きます。「地面には穴があったりブッシュがあったりするからよく見て。馬が急に横飛びをしても、危険を回避するためなのねということも分かるから。」なるほど、なるほど。「歩幅を変えてみて。馬が合わせてくれるわよ。」そう、では、小さくちょんちょん、大きく闊歩闊歩。うわあ。あのサニーが合わせてくれるよ。なんていい子なの。走っても大丈夫よね。よし、一二、一二(私の走りはこの程度です)。おお、サニーの顔がすぐ横にある。合わせてくれてるんだね。なんて素敵。なんて楽しい!かわいいなあ。
「こうして歩いたり走ったりしてシンクロさせることは、アリーナで準備運動するのと同じよ。コミュニケーションが取れてきたら、乗ってみて。半歩前に出さないように気をつてけて。」はいっ。了解です。いざ騎乗。はじめはゆっくりwalk。「まだ俺様が出てきそうだから、気をつけて。」はいっ。半歩出そうになったところで、はいだめよ。私がボスなんだからね。「ゆっくりのjogで、広い牧場の周りを周ってきて。スタリオンがいるところは気をつけてね。自分が怖いと思うと伝わってしまうわよ。」大丈夫。私が大丈夫だと思えば大丈夫。大丈夫だからね、サニー。
1回目はサニーが苦手な地点から落ち着きがなくなって、駆け足で出発点まで帰ってきてしまいました。マミーさんから、「馬は帰りたいんだから、そこで勝手に駆け足させたら元に戻すのが大変なのよ。」と一言。まずい、昨日の二の舞はすまい。気持ちを切り替えてもう一度やるわよ。サニーが安心できるようにね。
一、二、一、二、(今度は馬の上で数えています。)サニー、OK、その調子。日本で乗っている馬もサニーと似たところがあります。怖くて前に出てしまう馬。その子のことを思い出しながら、お腹の中心で前に出るのを抑えて、ときどきそっと手綱でプレッシャー&リリースをして。やった!ゆっくりできました!
マミーさんから「よかったですよ。サニーも気持ちよさそうだった。前傾もしてなかったしね。あはは。」(私は緊張すると体が前傾してしまう癖があるのです。)いろんな意味で無事にできて、よかった。!
六日目(最終日): 遊んでいるように見えるけど、実は訓練
今回の目的は達成できてしまったし、いいところで終わりたいしということで、今日は馬に乗らないで遊ぶことになりました。あっ、そうそう、まだお買い物もしてなかったので、買い物してからね。
この町はさすが、馬の町ですね。買い物は地元の農協のようなスーパーマーケットに行きました。トラクターや肥料などと並んで、馬具もブーツも本も。日本のボスが見たらほしいものがいっぱいだろうな。まっ、とりあえず牧場経営の本でもプレゼントするか。他にちょこちょこと買い物して、ブーツ専門店で念願のブーツとハットも買って。これで満足じゃ。
で、ラスティの牧場で、お世話になった馬たちに馬用のビスケットをあげたり、いろんなところを触ったりしながら、遊んでました。「こうしてね、触っているとね、馬具をつけるときも楽なのよ。それに、いろんな動きをさせるときの準備にもなるの。あと、それぞれに触ってもらって嬉しい部分が違うのよね。」と、マミーさんは、自分のジャケットを馬のすぐ近くで振ってみたり、前・後ろ、いろんなところを触ってみたりします。その時、楽しそうにやっているのね。はたからみたら、まさに遊んでいる様子です。でも、こういう時間をたっぷりとっているから、ここの馬たちは人間を信頼し、小さな扶助ですいすい進むのでしょう。
マミーさんいわく「丁寧に少しずつ慣れさせて小さな扶助でできたら、強い扶助は必要ないし、馬も自信がついて人間を信頼するようになると思う。それで、次に難しいことを教える時に、嫌がらないで強い扶助も受け入れるようになると思うのよ。でも、いきなり強い扶助で押さえつけてしまったら、馬にとっていやなことになってしまう。次は何をされるんだろうという不安は消えないから、だんだん大変になってくるんじゃないかしら。」
とても分かりやすい説明でした。今、マミーさんだけでなく、馬の自主性を大切にしようとしている人たちが増えているといいます。現に、一流の選手や、一流の競馬の調教士は、そのような姿勢を大切にしているそうです。(そういえばうちのクラブのボスも「馬に考えさせなきゃだめだよ。」と、いつも言ってます。一流ってこと?あはは。)
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たっぷり馬と遊び、いろんな学びをさせていただいた私は、幸せな気持ちのまま無事帰国しました。そして、冒頭のクラブで報告。ここのクラブは会員の自主性も大事にしているところです。(みんな言いたいこと言ってるから?)
(会員)
「ランディ家の馬みたいに一緒に歩くっていうのもやってみたい。そういう方が楽しそう。」
(ボスの奥さん)
「この前トレイルしようとして、Aさんはできたのだけど、同じ馬にBさんが乗ったら動かなかったの。
多分、Bさんの怖いという気持ちが馬に伝わってしまったのね。」(そうか、わたしとおんなじだね。)
「馬との信頼関係ができるようなふれあいをしたら、乗る時にも自信がつくわね。」
(わたし)
「あわてなくても、ゆっくり信頼関係を育てていきたいね。」
(会員)
「競馬でも自主的に走る訓練をしているんだって。子育てとも通じるね。ちょっと反省。(笑)」
(クラブのボス)
「ぼくもテキサスに行って教えてもらいたいと思うよ。」
(これだけの経験をもっている人でも学び続ける。すごいと思います。)
こんな調子でおしゃべりはまだまだ続くのでした。それで、私の報告が、なんらかの刺激になって、クラブの人たちが考えてくれているのは嬉しいことです。
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マミーさん、ショートステイの間に大切なことを一生懸命伝えようとしてくれてありがとう!!!あんなにたくさんの学びを、私一人だけにしておくのは、なんとももったいない。少しずつでも、きちんと分かってくれる人が増えて、馬たちと人間が幸せになればいいね。
実は、私は日本で子どもと関わる仕事をしています。そして、いつも感じることは、馬も子どもも大切なことは愛情と信頼関係だということです。何がうれしいのかな、何をしてもらいたいのかな、どんな力をもっているのかな。
私は、ときどき馬から気付いたことをヒントにして、子どもに応用することがあります。子どもと接するときも、非言語によるコミュニケーションは言葉によるものより大きな割合を占めるからです。また、遊びながら、意味のあるスキルを積み重ねていくようにもしています。結果は後からついてくるという感じで。
馬と子どもの違いは、もちろんあります。子どもは自分の夢に向かって生きていきますものね。馬自身には夢はもてない。ただ、どちらも忘れていけないことは、大人の勝手な枠組みにはまらない力を持っていることだと思います。
さあて、ごちゃごちゃ言ってないで、テキサスで学んだことを生かしていきましょう。これからどんなことが起こるか楽しみです。
今回の報告には書きませんでしたが、優しいご主人や立派な息子さん、陽気なお友達にもずいぶんよくしていただいて、本当に感謝しています。馬以外でもいろんな学びができ、私は幸せ者です。みなさんにもよろしくお伝えくださいませ!!!
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すごい面白いお話でした。マミ~のおはなしもいつも面白くて楽しみにしてますが、こういうお話、ほんと、おもしろい。本質的な学びですよね。。わたしも、がつんと自分を反省してみたいもんです。韓国にいていろんなこと感じて思想や生き方なんかに感動してますが、アメリカの馬と触れ合う中で学ぶことは、もっとスピリチュアルなレベルの深い自己理解、他者理解のように感じます。読みながら一緒になって自分を見つめる機会が与えられます。シェアしてくださってありがとうございます~。
投稿情報: たまちゃん | 2011/01/06 12:15
たまちゃん
こんにちは~♪
読んでくれて、きちんとありがとうって表現してくれて、うれしいです。
それだけでも、もらったら人にお返しするために
エネルギーを使ってくれる人なんだなって思っています。
ありがとうって言ってくれてありがとう。
投稿情報: マミ~ | 2011/01/14 15:10