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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
馬との関わり方など、テキサスから真摯に想いをシェアするべく書いて行きます。
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アルマンドは子どもの頃、メキシコで馬と一緒に育ったらしい。しかし、ティーンの時にアメリカに来てから馬との関係は途絶え、それでも馬への気持ちはずっと持ち続けていたらしく、最近になって2歳半の新馬を飼い始めたという。彼はうちの夫くらいの年齢。
テコンドーのマスターで、アメリカ国内だけでなく、世界に行っている人らしい。8段とか言ってたような・・・でも、それがどのくらい凄いことなのか、私はテコンドーの世界を知らないので分からないのだけど、ただ、初めて会った時から、この人は氣をオン・オフさせることを知っている人だなとは思った。
聞くと、韓国式の合気道のハプキドーでも段を持っているらしく、氣の使い方をプロフェッショナルに体得している人。もうその術を身につけているのだから、あとはそれを馬を扱う時にスライドさせて使えばいいだけだと私は思った。
そのアルマンドが彼の馬を連れて昨日、家に遊びに来た。アルマンドに「今日は何がしたいと希望・期待していますか?」と聞くと、特にこれといったプランや期待はないということだった。そしてまずは、私がいつもどんなグランドワークやっているのか見せて欲しいということだったので、彼の馬のトビーとマハティを一緒に丸柵に入れて、いつもやっていることを説明しながら見せることに。
すると彼から質問があった。「カウボーイたちはそんなに優しく扱っていなくて、拍車を使って蹴ったりして、馬に言うことを聞かせているでしょ。それでも馬は言うことを聞くけど、それではダメなんですか?」と。
その質問に対し、「何頭もいるうちの一頭が、たまたまそういう扱いでも我慢する、辛抱強い馬だったかもしれないですよね?馬に恐怖で言うことを聞かせている人たちの多くは、この馬はダメな馬、こいつは言うことを聞かない馬、というように、ダメ馬っていうレッテルを貼ってきた馬たちが、たくさんいるかもしれない。だけど、馬との信頼関係さえ築くことができれば、ダメな馬を人間が作ることがなくなるでしょう。げんにマハティはうちに来る前は“クレージーホース”っていうレッテルを貼られてたので、たったの200ドルだったんです。」と私は言った。
アルマンドはマハティのことを「すごく従順で言うことを聞くいい馬ですね。私もこんな馬が欲しいな。」と言っていたので、マハティが以前はダメ馬というレッテルを貼られていた馬だと知ってビックリしていた。そういう目の前の証拠があると、納得してくれやすい。特に男性には、確固たる証拠があると理解してもらいやすいかもしれない。
私は続けた。「例えばの話ですけど、馬との信頼関係が築けてなくて、馬に“強いる”、“やらせる”、“言うことを聞かせる”という扱いをしている人だとしたら、オリンピックで10位以内には入ることができるかもしれないけど、金メダルを取ることはできないと思う。テコンドーでも同じじゃないですか?本人のやる気を引き出すことができなければ、すごく優秀で才能のある選手だとしても、上位に入ることはできてもトップにはなれないでしょう?」
アルマンドは私の話とマハティの様子を見て、理解してくれた様子で、その後は、興味を持って、あなたのやり方を教えて欲しいと言ってくれた。なので私も気持ちを入れて、できる範囲でなるべく多くのことをシェアすることにした。トビーのためである。
トビーは決して悪い子じゃない。アルマンドの扱い方や乗り方が変われば、とてもいい子になる。というか、トビーだけでなく、問題がある馬の問題は“人間”。学ばなければいけないのは馬ではない。学ぶ必要があるのは100%人間なんだと思う。ただ、多くの人たちは自分のエゴを認めることができないため、なかなか変わることができないかもしれない。
しかし、アルマンドは武道を長年やってきたとても謙虚な人なので、彼の中で、(そうかもしれない)と納得してくれたため、私にトビーを自由に扱わせてくれた。そして私がちょっとやってみせては、アルマンドと交代してやってみることにした。
いくつかの動きをやってみるうちに、アルマンドを観察していて、一つ大きな問題にいつも引っかかることが分かった。そして、その点をストレートに指摘したら、アルマンドのトビーの扱いが急に変わり、トビーがアルマンドの言うことを聞くようになった。
それは、「やらせよう」という気持ち。アルマンドは優しい男性だけど、(俺の思った通りに動け)というエゴが出て、力を使っているのが時々見えたので、その点を指摘して、彼が馬で私が指示する人で、“やらせようと指示する”のと、“やれるように誘導する”やり方の違いを伝えたら、すぐに理解してくれた。そして「確かに自分はやらせようとしてる、してる」と笑っていた。しかし、アルマンドは決して馬を手荒く扱っているわけではない。また力ずくで馬に何かさせようとしていたのではない。ただ、あくまでもFeel(感じる)だけで、馬に感じさせるということをしていなかっただけ。
私が「馬には気持ちが全部通じるから、手足の動き方を変えるのではなくて、まずはあなたの気持ちを変えてみて。」というようなことを説明すると、アルマンドは最初は(そんな偽占い師が言うようなことを言われても信じられない)という風に思っていたようだけど、何回か(あ、ホントに馬って自分の心持を変えると変わるんだ・・・)と思う点があったみたいで、最後はすごく納得してくれたようだった。
後半、トビーに乗って欲しいと言われたので、「本当にいいんですか?」と確認してからトビーに乗ってみた。トビーはすごくいい子だった。けれど、手綱を持つと首を振るなど、アルマンドが手を焼いていたことをしていた。私にはなぜそれをするのか分かっていたので、トビーに話をした。(大丈夫だよ。引っ張らないよ。手綱は引っ張られるものじゃなくて、こっちに行こうねって合図するものなんだよ。)と教えつつ乗っていると、彼は分かってくれて、首で手綱を引っ張らなくなった。また蹴らなくても前に進むようになった。
アルマンドはそれを見てて、トビーの問題は自分の問題だったと分かってくれたと思う。しかし、人に伝えるのは難しい。アルマンドの場合は、理解してくれる人だと判断したので、私の知っていることをシェアすることができたのだけど、多くの人はアルマンドのようにはいかないと思う。
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