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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
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うちにルーミーを連れて来ることになったのは、実はその時の持ち主であったロニーから、ルーミーを1ヶ月ほど家で預かり、その間グランドワークを施し人間に慣らさせ、ロニーがルーミーを転売しやすいよう助けようとしたのがきっかけだった。ロニーは調教をしていた牧場から調教代を払ってもらえず、その代わりに広い土地にまるで野性の馬たちのように、放置されていた3頭の若い馬たちを、調教代の替わりに貰い受けるトレードに応じた。トレードと言うと聞こえはいいが、つまるところ「俺たちはお前に払える金はないから、そのへんの野原にいる馬を、もし自分で捕まえられるんだったら、煮るなり焼くなり売るなり、何をしてもいいから捕まえて連れてってくれ。3頭やるからよ。」ってなところだろう。
ロニーは黒人だ。テキサスで黒人が馬社会で白人と同等に扱われているか否か、、、それについてはロニーに聞いてみても、逆バイアスがかかっているため、何が本当か分からなくなってしまうが、しかし、少なくても彼が受けている”事実“を見れば、やはり今でも黒人に対する差別は、土に浸み込んだ水のように、取り除き難い形で存在しているとしか思えない。例えばもし、ロニーが白人のホース・トレーナーだったら、白人が経営している牧場は、彼に調教代を正規に支払っていたかもしれない。事実、彼らは未だにビジネスを続けているので、経営できていない訳ではない。
にも関わらず、黒人のロニーには不平等なトレードを申し入れ、そしてロニー自身も、そういった白人の差別意識と張り合っても、結局は彼らの意識を変えることはできないという諦めの気持ちからか、不釣合いなトレードだと分かっていながら飲み込むのだ。ロニーの中に(仕方がない)という気持ちが隠れているのだと思う。他にも似た状況の話をロニーに聞いたことがあるが、私はそんな彼の(仕方がない)と、事前から諦めている気持ちにいつも引っかかっていた。
事が起こる前からそうなると思っているが故に、仕方ないと諦めてしまうのではないか?プラスなこともネガティブなことも、事というのは自分が想像した通りになるのが常のように思う。長年、小さい頃から擦り込みされたことを変化させるのは難しいが、でも目の前の現実を変えようと思ったら、頭の中での想像を自分自身で変え、新しいリアリティーを作るしかない。不のスパイラルに陥った中で、長年慣れ親しんだネガティブな思考を打ち切り、新たな想像を作り出すのは容易ではないと思う。しかし、その作業はよくよく考えてみると、それほど難しいことではないと思う。なぜなら、自分の頭の中のみで想像する作業をすればいいだけなのだから。その領域には他人は入ってこれないのだし、想像に限界を定める必要は全くない。
友人に何でもできるスーパー・ウーマンがいる。数ヶ国語話し、2学年飛び級してケンブリッジ大学で博士号を取り、成功する科学者となり、体も健康で、きっと昔は飛び切りの美人でもあったと思う。彼女を見ているとマインドの力がすごいといつも思わされる。やろうと思ったら何でもできる人なのだ。しかし面白いことに、そのマインドの力がすごすぎで、逆にやれないと思ったら、その作用が強く働くためか、ものすごく簡単に見えることでもできなくなってしまう。
数年前に馬に一緒に乗った時、初心者の彼女はアリーナで馬に跨ったその瞬間から、自分の意志で馬をコントロールするのは当たり前の如く、いとも簡単にすぐに乗れるようになっていた。これなら大丈夫と、そのまま私たちはアリーナを出て外乗に出るのだが、そこでもまた、まるで何年も馬に乗っている経験あるライダーのように、自然に馬に乗れていた。そうしているうちに私たちの目の前に、小さな池がでてきた。私たちが乗っていた馬たちは、水を怖がらないどころか、逆に水に入るのが好きな馬たちだったので、私はそのままジャブジャブ水に入って、馬に水を飲ませていた。すると、友人が私の後ろで「あ、これはダメ。絶対にできない。無理。水は無理。」と言っている。私は「その馬、水は怖くないから大丈夫よ。それにここは浅いし問題ないよ。」と、池の中からこっちにおいでと勧めたのだが、水の前に立ち止まったまま、「無理無理、それは絶対に無理。」と言い続けていた。結局、自分の意思で“できる、やる”と思わない限り、どんなに能力のある人であっても、またはどんなに低いハードルても、超えられないと確信してしているハードルを越えることはできない。
初心者がスっと馬に乗れて、そのまま外乗に行けてしまうという方が、私にとっては驚異的なことで、高いハードルはすでにクリアーしたように思えたのだけど、彼女にとっては、浅い池に一歩足を踏み入れることの方が、はるかに困難なことだった。このように頭の中で作っているリアリティーとは、本当に人それぞれ違うのだろう。
ロニーにしても、危機状態にマインドをコントロールでき平常心を保てる人だ。しかし白人からの差別には精神的ブロックがある。多くの差別を受けている人たちには、同じ問題があるとは思うが、でも中には同じ黒人であっても、差別に心を曲げられていない人もいると思う。私は差別や逆境は簡単にクリアーできるものとは思っていない。超えられないハードルで苦しんでいる人に、無責任に「がんばればできるよ」と言う声をかけているのではない。
乗り越えるにはそれ相当の覚悟を持って、自分自身と闘う必要があると思いつつ、その上でリアリティーを変えるのは、やはり自分自身のマインドからワークすることで、現実を変える力が全ての人にあるものと信じている。“やればできる、思えばできる、現実は自分で変えられる”、これは特別に強かったり賢かったりする人だけでなく、古今東西、世界人類、ユニバーサルにどの人にも同じフォーミュラが当てはまると信じている。
続く・・
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