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馬と人間のコミュニケーションの世界をより良きものにするために
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ルーミー Rumi The Horse #2
さて、馬を連れてっていいという条件だが、それら3頭の馬たちは元々トレーニングされていなかった上に、ずっとパスチャーに放置されていたため野性化し、人間が傍に近寄れなくなっていた。なのでロニーが馬たちを捕まえたのは、その牧場から乗れる馬を借り、逃げる馬たちを馬に乗って一頭一頭追いかけ、ロープを回して捕獲してきたそうだ。プロのローパーで、ロディオではバッキング・ホースたちを捕まえる仕事(※下の方にビデオがあります)をしている彼にとっては、馬をロープで捕まえるのは朝飯前。
ただ、彼がそのような方法で馬を捕まえるのは最終手段らしい。まだ調教の入ってない馬たちには、(人間に追いかけられロープで捕まる)=(人間は捕食者)という擦り込みをしたくない。人間はライオンやトラのような捕食動物ではなく(実際にはそうなのだが・・)、馬にとってパートナーの存在となるために、一番優しく簡単な方法で接したいのだ。しかしこの場合、それができる状況ではなかった。
その日、私は友人のウェブの牧場でロニーと馬に乗る約束があったので、彼らが馬たちを捕まえ牛用のトレーラーに積み、ウェブの牧場に一時連れて来た時に出くわした。私がウェブの牧場に、マハティとゼファラスを馬運車に積んで着くと、ロニーともう一人カウボーイ風の若い兄ちゃんが、牛用トレーラーの辺りでなにやらワタワタやっていた。中には興奮した馬たちが乗っていた。マハティとゼファラスを馬運車から下ろした後、見に行くと、3頭いる馬のうち、まだトレーラーに乗っている2頭の馬を下ろそうとしているところだった。1頭はもう既に先に下ろされ、トレーラーの外に繋がれていた。それが後に、うちの子になったルーミーだった。
2頭を下ろそうとしていた光景は、七転八倒という言葉がピッタリする。トレーラーから下ろそうとしている場面で、あんなにも難しそうな状況を見たことがない。「この馬たち、一体どうしちゃったの?」と聞くと、ロニーが1頭の馬のホルターを握りながら、「こいつら野性なんだよー、野性なんだー」と、馬たちがトレーラーでどったんばったんする中、私に届く大きな声で言った。(野性の馬??え、どういうこと??)と訳が分からないまま見ていると、後ろ足一歩をトレーラーから下ろした馬が、また慌てて中に戻り、自分たちの糞で濡れていた床で足を滑らせた。狭いトレーラーの中で、まるでコンクリートの塊をドスンと落としたような振動で、大きな馬体がひっくり返り横転した。
その時ロニーは、頭をビクッっと上げることもなく、少し下向き加減のまま、手を下げたまま、氣を下げたまま、横になった馬のリードロープをただただ普通に持っていた。糞の匂い、トレーラーの床を叩きつける馬たちの蹄の音、馬たちの動きで上下に動くトレーラーの床、馬たちの興奮した荒い息、そして馬たちから出される、恐怖と不安と興奮のエネルギーが充満する中、ロニーは平常心を保ち、意識を平坦に持ち続けていた。
馬はビックリしていた様子だったが、まるで恐怖というエネルギーをロニーに吸収されたかのように、意外にもすぐに落ち着いて立ち上がった。ロニーは何も起こらなかったかのように、また一から、その馬をトレーラーの外に出す作業を続けた。そして、馬はやっとトレーラーから下りても危険でないことを学び、外に出ることができた。
「今の見たかい?」とロニーが言った。「うん、見てた。危なかったよね」と言うと、大男がかわいい温かい笑顔で「あれは本当に危ない状況だった」と言い、一息ついていた。ロニーは全く平気そうにやっていたので、(危ないとは思っていなかったのでは?)と、人間の私まですっかり騙されていたのだけど、本心では(ヤバイ)と思ってたのか。危機に精神を制して落ち着いている人の生の姿は、なぜだか目に、そして心に強く焼きつく。私はそういう人たちの凛とした姿を見るのが好きだ。人間も動物だから、本能的に(この人についていけば自分もサバイバルできる)と、感じるからかもしれない。
上記のことが繰り広げられている中、私はトレーラーに繋がれていた、顔が小さく賢そうな馬に目を奪われていた。痩せっぽちで小さいその馬は、まだ子馬に見えた。しかし聞くと、他の2頭と同じ年だと言う。この子だけ小さいのだけど、他の2頭は普通に成人サイズの馬だった。でもその馬たちは私にとっては、ただ目の前を通り過ぎていく普通の馬でしかなかった。なのに、なぜかこの小さい子には注意を奪われた。彼女からも(あなたのこと知っているわよ)という目線があったようにも思えた。
続く・・
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ルーミーの話でこの後、登場していただくことになる、日本人の元騎手の方がテキサスに来た時、ちょうど隣町でロディオがあったので見に行ってきました。その時にその方が撮ったビデオがあります。ロニーがロディオでやっている仕事とは、下記のビデオに出てくる、白いシャツを着た人たちがやっているようなことです:
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